不動産売却コラム

FP's Column
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代表 小日向 邦夫
執筆者小日向 邦夫 一般社団法人住宅購入支援協会代表理事/住宅購入カウンセラー/ファイナンシャルプランナー

大学卒業後、東証1部上場の住宅会社専門のコンサルタント会社に就職。在職中にファイナンシャルプランナー資格を取得。30歳で独立系のファイナンシャルプランナーとして独立。

50代60代必見!親から継いだ実家を後悔無く売却する方法

50代、60代を迎え、親から大切な実家を相続する。思い出の詰まった場所である一方、「遠くて管理ができない」「固定資産税の負担が重い」「兄弟とどうすれば…」といった現実に直面し、売却を考える方は少なくありません。

しかし、実家の売却は単なる不動産取引ではありません。家族の歴史や想いが絡むからこそ、手続きを急いで後悔を残すケースも多いのです。

今回は、50代・60代の方が、親から継いだ実家を「やってよかった」と思える形で売却するための、心と手続きの進め方をご紹介します。

 

ステップ1:まず始めるのは「心の整理」と「目的の明確化」

査定や不動産会社への連絡を急ぐ前に、まずご自身の心と向き合う時間を持つことが、後悔しないための最も重要な第一歩です。

 

  • 思い出を形に残す:売却を決める前、あるいは決めた後に、一度ゆっくりと実家を訪れてみましょう。柱の傷、懐かしい庭の景色などを写真やビデオに収め、思い出を形に残すことで、気持ちの整理がつきやすくなります。
  • 「なぜ売るのか」を明確にする:「管理の負担から解放されたい」「自分の老後資金にしたい」「兄弟で公平に分けたい」。売却の目的をはっきりさせることで、今後の判断に一貫した軸が生まれ、迷いが少なくなります。

 

ステップ2:最大の難関「兄弟との合意形成」

実家の売却で最もトラブルになりやすいのが、兄弟間の意見の相違です。「売りたい人」と「残したい人」、「早く売りたい人」と「高く売りたい人」など、立場や想いは様々です。

 

  • 全員で話し合いの場を持つ:メールや電話だけでなく、可能な限り全員が顔を合わせて話し合う機会を設けましょう。それぞれの考えや事情を共有し、全員が納得できるゴールを目指すことが大切です。
  • 決定事項は書面にする:話し合いで決まったこと(代表者、費用の分担、売却代金の分配方法など)は、後のトラブルを防ぐために「遺産分割協議書」として書面に残します。
  • 相続登記は必須:2024年4月から相続登記が義務化されました。売却するには、まず実家の名義を親から相続人へ変更する「相続登記」が完了している必要があります。これは売却活動の前提条件です。

 

ステップ3:現実的な課題「家財の片付け」と「税金の知識」

心の整理と家族の合意ができたら、いよいよ具体的な準備に入ります。

 

大量の家財、どう片付ける?

長年暮らした実家には、大量の家財が残されています。兄弟で協力して片付けるのが理想ですが、時間や体力が厳しい場合は、無理せず「遺品整理サービス」などの専門業者に依頼するのも賢明な選択です。費用はかかりますが、貴重品の捜索や供養まで行ってくれる業者もあり、心身の負担を大きく軽減できます。

 

知って得する「空き家特例」

相続した実家の売却で利益が出た場合、税金がかかります。しかし、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる「空き家特例」が利用できます。

 

主な要件

  • 被相続人(親)が一人暮らしだったこと
  • 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋
  • 売却代金が1億円以下であること

 

この特例が使えるかどうかで、手元に残る金額が数百万円単位で変わる可能性があります。ご自身の実家が対象になるか、不動産会社に必ず確認しましょう。

 

ステップ4:信頼できる「パートナー」を見つける

売却の成否は、不動産会社の担当者の力量に大きく左右されます。特に相続物件は通常の売却とは異なる知識や配慮が求められます。

 

  • 「相続案件」の経験が豊富な会社を選ぶ:査定額の高さだけで選ばず、相続物件の売却実績が豊富か、空き家特例などの税制に詳しいかを確認しましょう。
  • 「古家付き土地」か「更地」か、両面から提案できるか:古い家の場合、解体して更地で売るか、そのまま売るかの判断が必要です。それぞれのメリット・デメリットや費用を丁寧に説明し、最適な売却戦略を提案してくれる担当者を選びましょう。

まとめ

親から継いだ実家の売却は、多くの50代、60代にとって、自身のこれからの人生を見つめ直す大きな節目となります。

思い出への敬意を払い、家族としっかり向き合い、頼れる専門家をパートナーにつけること。この3つを大切にすれば、きっと「後悔のない、良い売却だった」と思える未来につながるはずです。

まずはご家族との対話から、その第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。