不動産売却コラム

FP's Column
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代表 小日向 邦夫
執筆者小日向 邦夫 一般社団法人住宅購入支援協会代表理事/住宅購入カウンセラー/ファイナンシャルプランナー

大学卒業後、東証1部上場の住宅会社専門のコンサルタント会社に就職。在職中にファイナンシャルプランナー資格を取得。30歳で独立系のファイナンシャルプランナーとして独立。

父親名義のご実家「相続」と「生前贈与」どっちがお得?


ご自宅が父親の名義である場合、将来的に名義を変更する方法は主に「相続(亡くなった後に引き継ぐ)」か「贈与(生きている間に譲り受ける)」の2種類です。
2024年(令和6年)の税制改正や相続登記の義務化を踏まえ、それぞれの対応方法、メリット・デメリット、税金の違いを整理して解説します。
まずは、亡くなった後に引き継ぐ「相続」と、生きている間に譲り受ける「贈与」の違いを一覧で見てみましょう。


項目 相続(亡くなった後の名義変更) 贈与(生前の名義変更)
タイミング 父親の死亡時 いつでも可能(父親の意思が必要)
主な税金 相続税 贈与税
登記費用 固定資産評価額の 0.4% 固定資産評価額の 2.0%
不動産取得税 非課税 課税される(評価額の1/2×3%)※
最大の強み 税負担が圧倒的に軽い 確実に特定の人へ渡せる
※住宅の場合は評価額の3%(2027年3月31日まで軽減措置適用)、宅地(土地)には別途「課税標準を評価額の1/2とする特例」(地方税法附則第11条の5)が2027年3月31日まで適用されるため、土地の不動産取得税=評価額×1/2×3%となります。


〇 税負担を最小限に抑えるなら「相続」

一般的に、自宅を引き継ぐ際に最も税金が安く済むのは「相続」です。


相続のメリット


  • 「小規模宅地等の特例」の活用: 同居していた場合など、土地の評価額を最大80%減額できます。これにより、都市部の高額な土地でも相続税が0円になるケースが多々あります。
  • 基礎控除が手厚い: 相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人数」という大きな非課税枠があります。
  • 諸経費が安い: 登録免許税が贈与の5分の1で済み、不動産取得税もかかりません。

相続の注意点


2024年4月から相続登記が義務化されました。相続を知った日から3年以内に名義変更を行わないと、10万円以下の過料(罰金)の対象となる可能性があるため、放置は厳禁です。




〇 確実性とスピードを重視するなら「生前贈与」

「将来、兄弟で揉めそう」「父が元気なうちに売却の準備をしたい」という場合は、生前贈与が選択肢に入ります。



2024年改正の「相続時精算課税制度」に注目

通常、贈与は税率が高い(暦年課税)ですが、60歳以上の親から18歳以上の子への贈与には「相続時精算課税制度」が使えます。

  • 累計2,500万円まで贈与税が非課税になります。
  • 2024年からは、これに加えて毎年110万円の基礎控除も併用可能になりました。

ただし、この制度で贈与された資産は、将来の相続時に「贈与時の価格」で相続財産に加算して計算されます。「税金を免除する」というよりは「支払いを相続時まで先送りにする」制度である点に注意が必要です。



費用シミュレーション(評価額2,000万円の土地の場合)

実際に名義を変更する際にかかる費用の目安を比較してみましょう。


項目 相続の場合 贈与の場合
登録免許税 8万円 (0.4%) 40万円 (2.0%)
不動産取得税 0円 約30万円 (軽減措置あり)
司法書士報酬 10万円前後 10万円前後

このように、初期コストだけでも贈与の方が数十万円単位で高くなることが分かります。



まとめ:あなたはどちらを選ぶべき?

最終的な判断の目安は以下の通りです。

「相続」がおすすめな人

  • とにかく税金を安く抑えたい。
  • 父親と同居しており、特例(評価額80%減)を使いたい。
  • 家族仲が良く、将来の遺産分割で揉める心配が少ない。

「生前贈与」がおすすめな人

  • 父親の意識がはっきりしているうちに、確実に自分の名義にしておきたい。
  • 将来、その土地の価値が大幅に上がると分かっている。
  • 収益物件(アパートなど)で、家賃収入を早く自分のものにしたい。

名義変更は、単なる手続きではなく「家族の資産をどう守るか」という大切な決断です。まずはご家族で「将来その家をどうしたいか(住むのか、売るのか)」を話し合うことから始めてみてはいかがでしょうか。